2014年1月  HUMMER ESSAY 2014年2月      

2014.2.25.    石飛 毅氏

鈴木君のHUMMERで、アメリカでは結構メジャーですが、日本では稀なトラブルが発生しました。
トラブルの内容は以下です。ATのATFが減少するトラブルで、アメリカでは『The ATF Vampira』と呼ばれています。これはATのATFの流路はATから一旦T/C内に入り、アルミのヒートシンクを備えた熱交換器でT/C内のATFを暖めたり冷却したりしています。この熱交換器にクラックが入るとT/C内にATFがマンパンになって大気開放のためのブリードホースを伝わって車外に撒き散らします。
当方も、このトラブルは当初より情報を入手しており、ATFの量を確認したときには、この症状がないか?と、非常に注意をしておりましたが、当方の回りでは全くこのトラブルが出ていないので、スッカリ頭の中から消えてしまいました。友野さんと相談して、一時期は対策部品の入ったOHキットを入手して在庫をしていましたけど、全く出ませんでしたので、T/CのOHをする人に供給して、その後はOHの殆どはスカイオートが行いますので、お任せしています。スカイオートでの修理状況をいちいち報告されているわけではありませんので、最近の状況は掴んでいません。
T/C、AT、デフ、ハブケースは温度上昇で気層部分の膨張収縮で圧力変化がありますので、大気開放口があります。普通の車はベント口が直接付いていますけど、HUMMERは渡河走行時の深さがスペックに載っていますから、ブリーダーホースを繋いで高い位置に接続されています。ここで問題なのは、この接続されている部分がエアクリーナーの中なんです。従って溢れたATFはエアクリーナーの中に入ってしまいます。エアクリーナーに入ったATFはエアクリーナーの水抜きからタラタラ垂れて、外に出てしまいます。特に高速を走行すると飛び散り方は凄くなります。
今回発見が遅れた理由は、エアクリーナーがK&Nだったためエアクリーナー内にATFが存在しても不思議ではないので、エアクリーナーの余剰ATだと誤解をしてしまいました。そんな折、当方が試乗したときに、ATのフィーリングに、ほんの少し違和感がありましたのでATFの量を見たところ減っていたので補充しましたが、最近、スカイオートから多めに入れてくれと言われていましたので、それを含んでも4L程入りましたので、これはおかしいと思いズーッと考えた結果。『The ATF Vampire』を思い出しました。もっと早く思い出せば良かったです。反省!
今までモヤモヤしていましたけど、鈴木さんのHUMMERはほぼこれに間違いないと確信して、一応確認のために、仕事が終わった後にガレージ行って作業の準備をして出かけました。準備したのはドレンパンとウエス、モンキーと、アーレンキー、ウエス、パーツクリーナーそして余剰の廃油を入れるポリタンクを持ちました。到着すると、可愛い子供ちゃんたちが歓迎してくれて思わずニヤリ。早く当方の孫も大きくなって欲しいです。
T/CのATFは注油するアッパープラグの下面までが規定量なので、プラグを外して出てきた分が全て漏れたATFです。慎重にプラグを緩めると、予想通りドバドバとATFが溢れて来て、予想が当ってニンマリでしたが、オーナーの気持ちを考えると気持ちが落ち込みます。出てきた量は2.2Lエアクリーナーからの漏れは今の所ないので、恐らく漏れは微量の模様。ピンホール程度と思われます。取り合えず、オイルクーラーをバイパスすれば走行に影響はないので、長めのホースを持って応急処置をします。
さて、この『The ATF Vampire』ですが、96年式から00年式まで(VIN No 137ZA833ZVE176477〜137ZA9036YE188382)は、発生する可能性が高くなります。以後は対策品が出ていますので強くなりましたので、少しは安心できますけど、万が一と言う事もありますので、このような症状が出たら、直ぐに点検してください。先ほどスカイオートに連絡したところ、先日、同じトラブルが発生して修理をしたそうです。
この症状が、もし、出て走行不能になりそうな時は、超緊急用としては、T/CとATはブリーダーホースで繋がっているので、ATのレベルゲージを緩めて、ブリーダーホースを閉塞すると、ATFがATに戻ります。T/C内にATFが満たされますけど、それ程大きな問題にはなりません。ベストはATの配管バイパスです。

2014.2.24.    石飛 毅氏

関東地方の2週連続の大雪は、大変でした。
ガレージのある埼玉と、その近傍は23区内と千葉に比べて降雪量が多く、初回は30cmで、2回目はそれを大きく上回る47cmでした。特に2回目は夜の9時からは雨になるという予報でしたが、結局、雨にならなかったために深夜の降雪だったため、朝起きてビックリという感じでした。
当方は、金曜日の夕方仕事が終わった後に、そこそこの積雪量だったのですが、たったの5Kmを1時間半も掛かってしまいました。この原因は前回同様、坂道を登れないトラックが動けないのが原因でした。先ほども書きましたが、天気予報では、夜9時からは雨の予報でしたので、9時過ぎに晩御飯のため外を出ると、その時点で前回を上回る積雪量。そこで、翼のHUMMERのタイヤエアを20psiに落として出かけました。交通量は少ないのですが、前回同様、坂道では沢山のトラックが交通を遮断してて、思うように走れません。食事の後にガレージに戻る途中に到ってはまともに走っている車の方が少ないぐらいの酷さでした。
ガレージに帰るには国道16号を渡りますが、そのときに当方の前を走っていたキャリアカーが左折して16号に頭を入れた時点で、渋滞のため動けず、当方は対向車線を走ってガレージに辿り着きました。この状態で身動き出来ない車がお気の毒だと思い、ハシケンの牽引ロープをHUMMERに固定して、レスキューのため、雪の中をもう一度HUMMERで外に出ました。結局、この日はトラック7台を牽引。最近の乗用車は牽引フックが無かったり、バンパーの一部を外して、牽引フックをネジこむタイプが多いので、これらは面倒なので、人力で押したり運転を変わってモミ出しをしました。
中にはスタッドレスを履いた雪国のトラックもスタックしていましたが、彼らの言い分は雪国ではちゃんと除雪しているけど、関東の道路は酷すぎるとの事でした。チェーンを巻いているトラックも沢山いましたけど、Wタイヤでも外側にしか巻いていないので、内側のタイヤが轍に掛かると外のタイヤが浮いてしまい、チェーンはむなしく空転していました。タイヤが一杯付いていても駆動輪の少ないトラックはフラットなアイスバーンか圧雪路じゃないと、厳しいみたいです。
翼のHUMMERはスタッドレスではありませんし、チェーンも装着していませんが、MTRはタイヤの溝はゴツゴツしていましたので、今回の様な積雪ではスタッドレスより『掻く』ので、有効でした。速度も遅いのでエア圧を下げればより安定して走破性が高くなります。ただ、安定しているのは駆動が掛かっている間なので、調子に乗ると落とし穴があります。それは、轍を越える時に抵抗が増したときや、アクセルオフにした時の挙動変化が大きくなります。交差点でアクセルを開けると、ドアンダーになりますし、コーナーを抜けた後にアクセルを開けるのが早いと今度はオーバーステアになりますので、アクセルワークには注意が必要です。特に交差点ではハンドルを切りすぎて、タイヤの向きが解らなくなりますので、グリップした途端にあらぬ方向に向いてしまいますので、周りの速度に合わせた速度で走るのが一番安全です。
ガレージは一応雪かきをしましたけど、雪の置き場がないので取り合えず山を作って放置していました。『東京の雪なんて2-3日すれば解けるんだからおお騒ぎするな』という人がいたので、放置して置きましたけど、今週になっても硬く凍った雪山は健在でした。積んだ場所もシャッターの前でしたので雪山が邪魔なので、そんな事言った人に来てもらいたいと思いましたが、桧谷さんがスコップを持って来てくれました。桧谷さんの話では船橋界隈ではもう殆ど雪はなく、ガレージに向かう途中に段々雪が増えてきて驚いた様です。
ガレージの備品にはスコップが無いので、雪の後にあるわけないので探しもしませんでしたが、桧谷さんは頭を使って、農村のホームセンターに行ったら普通に売ってたそうです。当方の所にスコップがないのを知って、工藤さんが『ママさんダンプと、角スコップが売っているけど要りますか』と連絡をくれたので、ママさんダンプは、大井先生の息子さんが『これが有効的』と教えてくれてたので前から欲しかったし、角スコップは今では必定品ですから、お願いしました。確かにママさんダンプは有効的で雪を運ぶのにスコップの数倍を一度に運べるので便利でした。しかし、角スコップは確かに角スコップでしたが見た瞬間使えない奴でした。

4輪駆動業界の重鎮でありました『タイガーオート鶴ヶ島』の山中社長がお亡くなりになりました。山中社長は兄さんがオープンしていたタイガーオートから独立されて、『タイガーオート鶴ヶ島』をオープンさせて4輪駆動ブームを牽引されたお一人です。その後、ブームが去った後も、クライスラーの正規ディーラーになり、『クライスラー・ジープ所沢』をオープンし、マニア相手の『タイガーオート鶴ヶ島』とディーラーとしての『クライスラー・ジープ所沢』を両立させて、他のディーラーと一味違う特徴を持たせ、衰退した4輪駆動業界の中で盛業させている数少ない方でした。
当方も、東大和時代にお会いしたのが初めてで、その後、義弟がグランドチェロキーを購入したり、松原さんがダッジバイパーを購入したりとお付き合いが増え、先輩でありながらも、とても大切にしてくださいました。元々ご自身が4輪駆動マニアでしたからクライスラーだけでなく、ゲレンデのコンプレッサーやランドローバー等も所有されてて、数年前にスカイオートからHUMMERも購入され、ミーティングにもお見えになった事がありました。
勿論、CCVの石川編集長や佐藤画伯とも共通の知人で、特に佐藤先生とは30年来のお知り合いで、タイガーオートのカレンダーを佐藤先生が描かれている位の深い仲で、佐藤先生の落ち込みは想像以上で、家族以外では体調が優れないのを知っていたのは佐藤先生だけだったそうです。確かに、カレンダーのお礼と、後輩のJeepの事でお伺いしようとしたところ、佐藤先生に『あいつは今忙しいから今は行くな』と、言われたときには辛かったらしく、お亡くなりになった時に『言わなくてごめんな』と謝られましたが、ご本人の意思ですから不問です。それよりも佐藤先生の傍にいて、なんてお声を掛けたら良いのか困る程の落ち込みなので、暫く話し相手になろうかと思っています。そんな訳で、お通夜には当方が佐藤先生の運転手になって一緒に向かいましたが、お通夜が終わった後に暫くガレージで故人を偲んで話しにふけりました。
幸いに、ご子息が20年近くご一緒に仕事をして、既に『クライスラー・ジープ所沢』の責任者を務めていますし、鶴ヶ島の方もベテランのメカニックや営業もいらっしゃいますので、以前と変わらぬ様対応できるそうなので、引き続きご愛顧の程宜しくとお受けしました。当方も出来る限り応援したいと思います。

2014.2.12.    石飛 毅氏

当方のHUMMERが久々に重整備が必要になってしまいました。
そもそも年末にクーラントが漏れていたので、色々調べると、どうもミッションとエンジンの間から漏れている模様。取りあえず、年末にドックハウスを開けて見た所、やはりエンジンとミッションの間からでした。でも、エンジンとミッションの間からの漏れは通常は余りない事で、エンジン後方からの漏れとするとヘッドからの漏れが考えられますけど、ヘッド回りはとても綺麗。後は砂型鋳造の砂抜きやクーラントが凍結した時に外れるエキスパンションプラグがエンジン後方に良くあるので、このプラグからの漏れかと思いましたが、その場合、エンジンとミッションの結合部分の下側に漏れる筈ですが、漏れるのは上の方だけなので、コレではない模様。漏れている場所を良く見るとミッションとエンジンは直接固定されておらず、間にアダプターの様な物があります。
そこで、このアダプターにメクラブタがあったので、それを開けてみると中からクーラントがドバドバ出てきました。一体、このアダプターの役割は何なのか知りたかったのですが、マニュアルは山田さんのHUMMERをコンバージョンする時に貸していたので見る事が出来ず、そのままの状態でドイツにいってきました。帰国後、一旦ドックハウスを閉じて、スカイオートに行きましたがマニュアルを持ち帰るのを忘れてしまいました。スカイオート往復で4-5Lのクーラントを消費するのでコレでは長距離の走行は不可能です。翌日、スカイオートが桧谷サンと一緒に、ガレージまでマニュアルを持ってきてくれました。ワザワザ来てくれたので、もう一度ドックハウスを開けてスカイオートにも見てもらいましたけど、ジャッジは当方と同じでした。早速、マニュアルを見るとこの部分の事はサラッと書いてあるだけで、余り参考にはなりませんでした。
取りあえずスカイオートがGMのサイトで確認すると、このアダプターはフライホィールカバーと言ってエンジンの左右のバンクのクーラント流路を繋いでる物でした。スカイオートによると、同じような症状のDURAMAXエンジンが結構あって、シールに使っているOリングの不具合が原因で、GMから対策品のOリング出ていました。部品は今月スカイオートがアメリカ出張に行くので持ち帰ってくれると言ってくれたので一安心。しかし、この数ドルのOリングを交換するだけで修理は終るのですけど、コレを交換するためには物凄く大変な作業が待っています。何しろエンジンとミッションの間にあるのですから、ミッション、トランスファーを外さなくてはなりません。コレは結構な重整備です。スカイオートが修理しますよと言ってはくれたものの、燃料タンクから燃料が漏れていますし、当方のコンバージョンした時には、燃料配管のサイズアップが改造項目にはなく、スカイオートは、その後のコンバージョンは燃料パイプのサイズアップをしているので当方もコレをやりたいし、ミッションを下ろした時点で必要な部品が出るかも知れません。それと、ボディを乗せたままミッションが降りるかどうかも解らないので意を決してガレージでやることにして今週から作業を始めました。
実はコンバーションした場合、クーラント流路にはドレンがないのです。配管を緩めて出すと飛び散りますし再利用が難しいのですが、費用を抑えるために、ドリルポンプで汲み出してポリタンクに回収しました。サージタンクからの汲み出しは簡単ですけど、4L程しか汲み出せません。それから先はサージタンクを外して、太いホースに細いホースを差し込んで汲み出しましたが、20L程汲み上げた時点でホースが届かず汲み出せませんでしたが、Oリングの位置よりは低かったのでコレで良しとしました。
次に、プロペラシャフトの取り外しで、この作業の時は良くUジョイントが外れてニードルを落としてしまうので、テープで巻いたりしますけど、油だらけなので、作業しているうちに外れて残念な事になってしまいますので、今回はアルミの板で挟みこむアダプターを作りました。コレのお陰でフロントのペラシャフトを抜く時に知恵の輪になるのですけど、安心して作業が出来ました。トランスファーのATFを抜いた時点で、燃料タンクを先に下ろした方が作業し易いので、燃料タンク外しを行いました。燃料タンクを外すために下見をするとタンクがスタビライザーのブラケットと干渉して削れてる。。。
燃料タンクを外すには、先ず給油口を外してタンクからジョイントの短いホースを外します。その後、ベントチューブ、ブリーダーチューブ、燃料計のセンサーコネクターを外します。ブリーダーはナイロンで硬化してて、接続しているのが樹脂の部品なので破損するのが嫌なので、取りあえずゴムホースで中継するので、カットしました。タンクの中には燃料が入っているので、軽量化のためチューチューポンプで汲み出し。残量は思ったより入ってて50L程残っていました。樹脂製のタンクですから燃料が入っていなければハンドリングは容易に出来ます。燃料タンクはお尻から下ろしますが、後付のリアスタビライザーが邪魔なので外しました。タンクは一応ジャッキを当てて様子をみながら下ろしましたけど、ジャッキを少しずつ下げるのに車の下から出たり入ったりが面倒。こんな時猫の手でも欲しいです。
ミッションは重いので、今回はトランスファーを外して下ろします。トランスファーは今まで何度か脱着していますけど、老化して以前より体力が落ちていると思われるので、ミッションジャッキを使います。ミッションジャッキは以前持っていた奴はボロボロの頂き物でしたが、下田健太君が整備して赤いペンキを塗って綺麗にしたら、前の持ち主がそれを見て使いたいからといって持って帰ってしまい、そのまま返してくれません。その後、『ミッションジャッキは。。』と言ったら『上げたんじゃなくて貸したんだよ』だって言われました。現在の奴は3年ほど前に、名古屋の知人からお金を払って買ったもので、新品同様です。ただ、ペコペコ押しても最高部まで上がらない、、、、そこで試しにジャッキオイルを入れたらチャンと動きました。以前はミッションジャッキがなかったから、トランスファーを落として数針縫う怪我をしましたので、今回はミッションジャッキにトランスファー用のアダプターを作って楽チンに作業できるようにします。
コンプレッサーのタンクには水が溜まります。大気を吸って圧縮するので、大気中の水分が圧が掛かって液化します。それでもエアの中には水分が入っているので配管にはミストセパレーター付のレギュレーターを付けています。タンクの中に溜まっている水はタンクのドレンバルブを開く事で内圧で押し出します。業務の方は毎日ドレン抜きをしているでしょうが、当方の場合はタンクが巨大なので、ほんの少しバルブを開けたままにしてエアをリークさせて常時水分を出しているので、殆ど触りません。が、本日コンプレッサーを点検したらこのドレンバルブが詰っていました。そこで掃除をしたのですけど、ゴミが取れなくてバルブを外した後、コンプレッサーを起動させて内圧で吹き飛ばしそうと思ってやってみました。コンプレッサーが起動して最高圧になった時点で、コンプレッサーは止まりますけど、それでも詰りは治らず、これはOHが必要かと思って放置していた所、突然破裂音がした後に物凄い音でエアが噴出し、ご近所迷惑を掛けてしまいました。エアの力って凄いですね。

 2014年1月