2014年2月  HUMMER ESSAY 2014年3月      

2014.3.31.    石飛 毅氏

ミーティングまで後2週間です。
いい天気になると良いですよね。友野さんも、お嬢さんが卒業されたのでPTA会長の任期も終りましたので、久々に572の勇姿を見る事が出来そうです。しかし、当方のHUMMERは部品とSSTが未着なので間に合うか微妙です。恐らく翼のHUMMERでの参加になる事が濃厚です。
部品が届かなくてもやるとが沢山あります。組み上げた燃料タンクを仮止めして見ました。燃料タンクはチョッと不満があって、固定方法を少し変更したのと、ボディリフトのため、給油口の位置が変わってしまい、給油パイプがシックリしていません。以前からゴムホースを長い物にしようと耐油のゴムホースを買ってみましたが、硬くてゴムらしさが全くないものだったので、諦めていました。そこで今回は、給油口から燃料タンクまでの金属パイプを思い切ってカットして、ハイプ同士をゴムホースで繋いでトータルのパイプの長さ調整を可能にし、尚且つフレキシブルになったので配管を無理のないレイアウトにする事が出来ました。スタビライザーのブラケットが燃料タンクに当たってたので、これの修正も行いました。
排気管は、ターボチャージャーの出口からマグナフローの太鼓まで一体なので、メンテナンス性が悪い上にレイアウトに多少無理な部分があります。そこで、今回、折角排気管を外したので、3分割にする事にしました。排気管の接続方法は一回り太いパイプを被せてそこに異型のパイプを同時に締める事が出きるクランプで固定します。パイプは板材を巻いて繋ぎ目を溶接して作製。塗装は耐熱シルバーで下地を塗って、その後、耐熱の黒で塗装しました。塗装膜はシルバーを60μ、黒を60μの合計120μ付けましたので、かなり耐久性には期待できます。この接続方法はマグナフローの固定方法と同じで、取り付けた上体での溶接をしなくても配管を接続できますから、差込量で長さ調整と、回転する事が可能なので、排気管の取り付けに自由度が増しますしレイアウトの融通が利きます。
こんな便利なクランプですが、国内では見当たりません。もっとも、国内では4インチもあるパイプを繋ぐような作業をする人がいないので、今回もアメリカから輸入する事にしました。何時もはSummitを使いますが、在庫がないため今回は初めてAmazone USAから買ってみました。数は、他の人の事も考えて2台分8個買いましたが、本日カットしようと思ったら、排気管は途中で太くなっている事に気が付いて、カットする前の方は3.5インチでした。折角来たのですが再発注。今度はAmazonには無くてSummitにはありました。4インチの配管接続キットが4セット無駄になってしまいました。残念です。
排気管の回りには、ATの配線、ATF配管、燃料配管がありますので、この部分は断熱が必要です。そこで、保温のプロである片岡さんに大量の色々な種類の断熱材を送っていただきました。断熱材の固定をするためのステンレスワイヤーと固定する道具も一緒に送ってもらいました。この中で、片岡さん愛用のステンレスハサミは優れもので、ガラス繊維のマットをシャキシャキカットできます。ネットで調べて見た所、このハサミは燕三条物だと解り納得しました。メーカーの説明によると、良く切れるハサミの一番解り易いのは粘着テープや両面テープを綺麗に切れると書いてあったので、何時もグチャグチャになってしまう厚めの両面テープを切ってみたら、見事にスパッと切る事が出来ました。流石プロの選ぶ道具は凄いですね。
色々準備が出来ているので部品が届くのが楽しみです。今月末は鈴木さんのHUMMERがスカイオートに入院中なので、鈴木さんは来ませんでしたが、スナップオンのバンはやってきました。実は、先日クランクのボルトを緩める時に、初代1/2サイズの大きい方のインパクトレンチでは緩まず、平衡使用しているバックアップのインパクトレンチで緩めました。本当は修理をすれば良いのですが、20年使ったインパクトレンチは古すぎてスナップオンでも修理の受付をしてくれないそうです。その話をスナップオンにすると、新しいモデルを薦めて来ました。説明ではボディがマグネシュウム、ベーンモーターの羽の枚数が4枚から8枚になり、パワーもアップしているそうです。重量が軽くなったというか軽く感じるのは、握った時のバランスが良くて頭が下がり難くなっているからの様です。
スナップオンが大幅値引きをしてくれたので、リプレイスする事にしました。これで、常用のインパクトレンチは3サイズ全てマグネシュウムボディになりました。デザインも同じなのでホルスターに並べると中々カッコよくて大満足です。引退したインパクトレンチもタイヤ交換等普通には使えるので、これは会社で使うか、ミーティングの景品にでもして余生を過ごさせようと思っています。

2014.3.17.    石飛 毅氏

SSTがまだ届かないので、今まで気になっててこの際やろうと思う作業を始めています。先ずは燃料タンクですが、当方以外のコンバージョンは燃料ホースを交換していますが、当方のはノーマルのままです。最初からDURAMAXを搭載しているシルバラードは結構太めで、尚且つリフトポンプも付いています。更に、リターンホースには燃料クーラーまで備わっています。通常使用ではこのままでも良いのですが、マックスの時に燃料が足らずにパワーが出ないのは悲しいですし、20年も使っている色々な劣化もありますから燃料タンクをリフレッシュしました。
現状の燃料タンクは、満タンにすると燃料漏れを起します。10L程使うと漏れは止まります。これ以外は特に不都合はありませんが、固定方法に問題があって、タンクが少し動いています。燃料タンクには、プレートが付いててコレには燃料のデリバリーノズルとリターンノズル、燃料計センサー、ブリード口が付いています。タンクはフタコブらくだのように成っているので、給油の時に給油口のない方のコブに溜まったエアを給油口のあるコブに通気させる連鎖管があります。燃料が持っていたのはタンクにねじ込んである連鎖管用のジョイントの緩みだった模様です。今回、配管を太くする算段ですが、燃料タンクの吸い込みノズルの太さはノーマルの配管より太いのと、先端に付いているフイルターの装着を考えるとノーマルの太さのままでOKとしました。ただ、配管をアールズのステンレスメッシュにしますので、ノーマルのフレーアジョイントは使えませんので、NPTのメネジを切った部品を作製しました。
その代わり、元々のノズルは極細のリターンに使う事にしました。従って、元々デリバリー側の配管をリターン側に使うことにします。これで、一本太い配管を追加するだけで、デリバリーとリターンの配管をワンランクアップする事が出来ます。燃料配管には、長時間停止した時に燃料がタンクに戻らないようにするため、逆止弁が付いています。リターン側にもタンクの内圧が上がった時に逆流しないように逆止弁が付いています。コモンレールの場合はリターン側には必要ないと思われますけど、取りあえず配管の途中にそれぞれ取り付けました。燃料タンクのリターンノズルは元々NPT1/4のメネジでしたがNPT3/8にスケールアップしました。ノズルは当方には作れませんので、当方が図面を書いて、勤務先の元上司の会社で作ってもらいました。
燃料計のセンサーは、従来はレバー式の昭和スタイルでしたが、今回はフロートが内蔵されたパイプ型にしました。DIESELエンジンの場合はレバー式でも20年使えましたけど、GASエンジンの場合、燃料の粘度が低いためか抵抗が直に切れちゃいました。このタイプの方が丈夫なんでしょうか?この燃料計ですけど、5本のネジが等倍ではありません。多分、取り付け位置を守らせるためでしょう。同じようにプレートのネジのピッチが等しくなくて、パッキンは裏表左右4通りの取り付け向きが有りますので、最初?マークが点灯しました。燃料タンクのドレンは差し込んでからビスをまわすとゴムが回ってしまい、締め辛いので、予め穴の大きさぐらいに膨らませてから少し強めに押し込む位にしてから締め上げた方が宜しいかと思います。
これ以外に作製した部品は、元々燃料フイルター前でレジューサーで絞られていたので、これをストレートにして、アールズの配管が出きるようにしたジョイントを作製しました。リターンはエンジン側はノーマルのデリバリー側と同じ太さでしたので、ココもレジューサーを撤去してストレートに配管が出きるようになりました。燃料配管の取り回しは排気管のダウンチューブが大きな顔をしているので、燃料はノーマルのルートがベストなので、リターン配管を撤去する序にステンレスメッシュのホースとかATFの配管もダウンチューブから遠ざけて断熱材を巻く事にしました。ダウンチューブの熱害は防止のためにATの配線等は断熱材を巻いていましたけど、どうも保温方法が下手糞なので、パラパラ解けてしまっていました。
色々断熱をしていたら材料がなくなりネットで調べたら、どうも、当方が望んでいる物がなくて保温のプロである片岡さんに写真を撮って『コレってなんていうの?』と聞いたら、即答で『アルミガラスクロス』と返って来ました。流石です。序にこれの巻き方も教えて貰いましたので、材料が揃ったら徹底的に断熱します。
組み立て始めて、気が付いたのですけど、どうもプレートに付いているブリード口はゴムのグロメットにトラップが付いているのですが、このグロメットがユルユルで、ココまで燃料が来ると間違いなく染み出しますので、密閉度を上げなくてはなりません。最初はシーラントを使おうかと思いましたけど、試しにOリングを押し込んだらピッタリ嵌ったので、これで良しとしました。2コブの連鎖管は下ろす時にカットしてしまいましたので、これもやり直ししますが、ジョイントの真鍮リングは再使用出来ませんので、調べるとAmazonにあって発送元がビバホームだったので、ビバホームに行ったら売ってませんでしたので、Amazonでポチリました。

最近、トランスファー(TC)の中に入っているクーラー(熱交換器)の破損した話が結構出ています。早めに気が付けば、コレの交換か修理で治りますけど、酷くなるとATを壊しますので、十分注意をして下さい。この熱交換器は、TCの冷却に使っています。街中の低速ではTC内の温度はそれ程高くはなりません。どちらかと言うとATの温度の方が高くなります。これは、ATの場合はトルクコンバーターがスリップする時の方が発熱をするのと、低速だとATクーラーに風が沢山通らないからです。所が高速走行はATはロックアップしているし、走行風が沢山流れますのでATの温度は低くなります。それに引き換え、トランスファーは回転が高くなるので温度が上がりますので、温度の低いATのATFをTCの中に小さなラジエーターみたいなのが入っててそれがTCを冷却します。
当方のコンバージョンした時はTCはパートタイムでしたが、雨の日の走行に心配だったので、フルタイムのTCと交換しましたが、この時、クーラーの配管がなかったので省略した所、慣らしが終った後にTCのATFを抜いた所、少しメタリック粉が出ていたので、TCのオーバーヒートが心配になり、572に付いていたのを思い出して、オイルクーラーを取り付けました。その時に温度計も付けましたので、色々傾向を見ると前記の様な傾向が良く解りました。この結果を見て当方と同じ、コンバージョンしている柳本さんと、元々ATに温度計を付けている桧谷サンがオイルクーラーを装着しました。桧谷サンは高速道路を使って長距離を走る機会が多いので、TCの温度が心配だった様です。
桧谷さんに聞いた所、高速を全開で走ると200F(93℃)まで上がるそうです。冬場は良いのですけど、夏場はオイルクーラーの容量でも足らないそうです。桧谷サンのHUMMERはTC内のクーラーも効いていますから、両方でも間に合わないぐらいの発熱があるみたいです。そんな時は速度を落として温度を下げるか、休憩を取るしかないですね。当方のは夏場でも十分冷えているのは、当方のHUMMERはサブタンクがないので、とてもよく冷える場所にオイルクーラーを置いていますけど、桧谷サンのHUMMERは助手席側のリアフェンダー内に泥が入らないようにカバーをして隠しているので、ファンの効率が悪いかもしれません。対策としては、オイルクーラーの容量アップかダクトを追加するしかないですね。
TCの温度が上がりすぎるとどうなるかというと、ATFが思いのほかベーパーになって減り始めます、一旦減り始めるとドンドン悪化してTCが抜けてしまいます。こうなるともうカラカラの状態になってしまい、TCの中は茶色く変色して使う事が出来なくなります。この事例はご本人の名誉のためにお名前を公表しませんが、GAS HUMMERでかなり高速で走っていたと奥さんにお聞きしました。。。。。
モチロン、普通に走行している分には問題がないのですけど、普通の人よりアクセルを沢山踏む方でトランスファーのATF劣化が早い方は上記の事を頭に入れて運用してください。

2014.3.10.    石飛 毅氏

当方の修理は、また、大きな壁に激突です。
数十ドルのOーリング交換にこんな手間とお金が掛かるなんて予想もしていませんでした。先日のフライホイール固定用のSSTは、組み込み時に必要なのでスカイオートに注文しました。後はフライホィールカバーを外すだけなので、やっとOリングに逢えると思ったら、カバーは案外色々な役にたってて、冷却水マニホールドの役割があって、面合わせの部分以外にも配管による取り出しが残っていました。最初に外したターボ冷却用の冷却配管はナットで固定してあるのですけど、ナットを緩めただけでは抜けない構造です。軽いいじめか、なぞなぞみたいな取り付け方だったので、マニュアルを見ると、ナットを抜いた後にスタッドも抜かなくてはならない様です。こんな事しないで、素直にボルトにすれば良いのにワザワザこんな止め方をするにはそれなりの理由はあるみたいで、他の流路の固定も同じ様な止め方です。恐らく締め過ぎでねじ山を壊さない様にしていると予想できます。
スタッドの先端は星型なのでスパナでは合いませんが、以前、この形のソケットを買って合ったので、無事取れました。もう一つはオイルフィルターの裏側で、これもナットを緩めてもスタッドが残るので同じようにスタッドを抜きます。 山ほどあるカバーを固定しているボルトを全て外して、いよいよOリングとご対面出来るかと思ったら、カバーはビクともしません。サービスマニュアルを見るとカバーにはGMのエンジンシーラントとかいうシール剤を使っています。確かノーマルの6.5エンジンはオイルパンのシールが粗悪で、よくオイル漏れを起しています。先日、鈴木さんのエンジン載せ換えの時にスカイオートがコレを使うとバッチリ!というシール剤を使った所、見事にオイル漏れが止まりました。この時は序にクランクシールとかのゴムパーツも交換しましたが、オイル漏れやニジミのある人にはお薦めです。
もしかして、コレと同じ物を使っているとなると接着力も高くて広範囲に塗布しているので、そう簡単には剥がせませんので、スカイオートに品番を聞くと同じ物を使っていました。そこで静かにバールを入れて騙し騙し剥がし始めましたが、中々剥がれません。そこで、更に良く見るとDURAMAXのクランクシールはこのフライホィールカバーに入れてあって、マニュアルの手順としてはこのシールを先ず抜く事になっています。さらに読み続けると、このシールを外すにはSSTが必要で、更に組み込み時もSSTが必要な事が書いてありました。
そこで、ネットでこの工具を調べると単体でも300ドルづつ。。。更にフロント用のも追加してケースに入っているセットは1000ドル以上もします。余裕にある時は当然セットを買ってたと思いますけど、ここの所、色々出費が重なっていますので、必要な物だけ注文しました。安易な気持ちで始めましたけど、どうもそう簡単に終らない感じがしてきました。自分のですから、SSTを使わないで後でやり直しになるのは辛いです。ココまで来ると、当方と同じシール不良以外にもクランクシャフトシール交換等、他のDURAMAXエンジンでもあり得る作業なので、今回の一連の作業は人柱モードになってしまっています。本当は使い終わったSSTはピカピカに磨いて金庫に仕舞って使いたい人にはメチャクチャボッタくってレンタルしようかと思っていましたが、今回使用した全てのSSTはスカイオートに常駐させる事になりましたので、SSTの他、当方が体験した工程の詳細は全てスカイオートにレポートして置きますので、DURAMAXオーナーの皆さんご安心ください。
スカイオート近傍のHUMMERオーナとも良く行っている『美食料理つくし』ですが、今まで店が狭くて中々予約が取れませんでしたが、この度、新築自社店舗に移転しましたので、お祝いのお花を出しました。マスターからそれについて御丁寧なお礼を頂いたので、なんか行きたくなってしまい、急遽、木曜日定例の『スカイオートとその仲間達の会』に便乗して行って来ました。店舗は今まで店主もお客さんも苦労していた部分はスッカリなくなり、立派なお店になっていました。何よりもマスターと奥さんの人柄の良さは店中に並んだお祝いの量が表しています。
その話を桧谷さんにした所、『ずるい』と、クレームが入りましたので、スカイオートと3人で昨日も『つくし』に行って来ました。毛がにを初めとして美味しい物を沢山食べると、HUMMERの困難な修理の事はスッカリ忘れてしまい、とても幸せでした。

2014.3.6.    石飛 毅氏

AMAZONで発注したエアーホースとソケットが届いたので、ノー残業デイを利用してガレージに行って来ました。
はやる気持ちを抑えて、体が良く動くように暖房を付けて、暖めてコンプレッサーの電源を入れます。エアホースは10m単位なので20mの物を買いましたが、配管抵抗を下げる目的にしてはチョッと長すぎなのですが届かないよりはマシだし、緩まなかった時に短くすれば良いのです。でも、今後の事を考えるとホースは出来るだけ切りたくはありません。
コンプレッサーのエア圧は設備の耐久性を考えて常圧は7kg/cuにしていますけど、今日はレギュレーターを全開にして9kg/cuにしました。スナップオンの1/2ソケットのインパクトレンチは3個あります。多分、一番トルクのある1号機は黄色いブーツを被った奴なんですけど、もう20年近く使っているので性能を発揮できているか心配です。2番目に強そうな2号機は買ってから10年以下ですし、1号機との併用なのでそれ程過酷には使っていません。3号機は軽量なので、余り強さには期待できないので、1号機と2号機を持ってHUMMERの下に潜りました。配管を繋いで空回しすると何時もより明らかに大きな音で回わるので期待が出来そうです。
先ずは1号機でフライホィールの一番アクセスし易いボルトにソケットを入れてインパクトを握り締めましたが、、、ビクともしません。チョッと長めに何度か繰り返しましたが、その内エア圧が下がってコンプレッサーが回り始めます。コンプレッサーが止まるのを待って、2号機とバトンタッチ。一応フライホィールが動くと力が逃げないのと、ソケットが外れないように両手でボルトを押し潰す様にしてインパクトを握り締めると、さっきの苦労はなんだったんだ?と思うほどアッサリ緩みました。この後、残りの8本も拍子抜けする程簡単に緩み、コンプレッサーも再起動しないでも済むぐらいのエア量で全て外す事が出来ました。
緩めるのはインパクトでいいのですが、マニュアルを見ると塑性ボルトの場合は新しいボルトを使えと書いてあります。新しくしないとエンジンを壊す!と脅しも描いてあります。更に解読すると、このボルトはモリブデンコーティングしてあって、これを剥がすなとか、一切の潤滑剤を使うなとも書いてあります。この塑性ボルトと言うのは、ボルトを引っ張ると元に戻る弾性変位の領域で使うトルク締め込みと異なり、ボルトをスタッグさせるトルクで締めこんだ後に一定の角度で締め込みます。DURAMAXの場合はこの角度締めを2セット行って締め込み完了とします。弾性域ではボルトの伸び量と戻ろうとする軸方向の応力変化が大きいためにトルク管理だと実際のボルトに掛かる軸方向の力を一定にするのがとても難しくなります。所が、塑性変位領域では伸びる変位量に対して軸方向の変位が少なくなるため多少粗い締め方でも、弾性変位領域に入っていれば希望する軸加重を保てます。
色々文献を見ると3回ぐらいは大丈夫とか、毎回変えろとか諸説あります。確かにボルトを見るとモリブデンのコーティングも確り残っていますし、見た感じ新品同様ですけど、僅か数千円のボルトをケチってエンジンを壊したら滝涙ですから、当方の選択は当然『交換!』直ぐに、スカイオートにボルトを注文しました。取り合えず、平日なので、ボルトを8本だけ緩めて撤収。購入した部品を緩めた本数で割ると一本外すのに1350円掛かりましたけど、納得です。

2014.3.3.    石飛 毅氏

当方のHUMMERは、エンジンとミッションの間からという不思議な場所からのクーラント漏れでしたが、スカイオートがアメリカのDURAMAXのサイトでエンジンとミッションの間にあるフライホィールカバーのOリング不良が原因である事が解りました。
このOリングのトラブルは決して多くはありませんが、有名なトラブルの様です。解ったのがスカイオートの渡米前だったので、スカイオートが現地で調達して持ち帰ってくれました。
そこで、交換の準備を始めたのですけど、数ドルの部品交換にしては、作業は大掛かりです。先週までに燃料タンクは下ろしましたが、今週はトランスファー(T/C)、ミッション(A/T)の大物を切り離します。トランスファーは今までパートタイムからフルタイムに変更したので交換した事がありますが、その時には力任せに作業をしたため、怪我をしてしまいましたので、今回は名古屋からお嫁に来たミッションジャッキを利用しました。前回、人力で行ったのはT/Fの底面はフラットではないため、平らなジャッキ皿に座りが悪いので、無いも同然だったのと、燃料タンクが邪魔でT/Fを回転させながら外す必要があったためで、今回は燃料タンクは外してありますのでそのまま後退させれば良いので、今回は図面を書いて、仕事でお付き合いのある業者さんにお願いして、ミッションジャッキ用のアダプターを作って貰いました。このお陰で殆ど力を使わずにT/Cをスルスルっと下ろす事が出来ました。
次にA/Tですが、DURAMAXコンバージョンはボディとエンジンを切り離して行うため、ボディが乗った状態でミッションを下ろすのは、多分、当方が初めてだと思います。もしかして降りない可能性も十分ありました。そこで、出来るだけA/Tの回りをスッキリさせた方が作業性が良いので、邪魔な排気管を下ろすことにしました。しかし、コンバージョンの排気管はタービンのダウンパイプからマグナフローの太鼓手前までが一体の長物なので、そう簡単には下ろせません。更に当方のガレージにはリフトがありませんから、車体下側に十分な余裕がないので、知恵の輪崩しをしながら頑張りましたが、何度も途中でカットして後で繋げば良いと頭を過ぎります。しかしカットするにも工具のアクセスが悪いので、何れカットするとしても、外してからの方が楽珍なので、多少強引な手段も使いながら、一時間程格闘してどうにか一体の状態で外す事が出来ました。
マフラーを外すと思いの外A/Tの回りはサッパリしてて、下ろすのに障害はないので、ココで心配事が減りました。A/Tとエンジンは構造的にはエンジンにボルト止め。動力的にはトルクコンバーターとリングギヤがボルト止めされています。事前準備としては、ATゲージ、配線、シフトリンク等の繋がっている物を取り外します。先ずはトルクコンバーターとリングギアを接続しているボルトを外しますが、このボルトへのアクセスは、通常のHUMMERの場合はトルクコンバーターを覆っているベルハウジングのカバーを外すと簡単にアクセスできます。所がアリソン1000のベルハウジングは完全に釣鐘型で閉塞されててボルトを見ることさえ出来ません。これじゃー取れねーじゃねーかと思いましたが、ちゃんとサービスマニュアルを見ると、このボルトへのアクセスはスターターを外して行えと書いてありました。通常のHUMMERのスターターは非常に重いのですけど、DURAMAXはリダクション式のスターターなので軽量なので、余り気が重くなりません。ただ、スターターを固定しているボルトへのアクセスはオリジナルのほうが優しい場所にあります。
ミッションの重量はT/Cの3倍以上ありますし、単体で見たことがありませんので重量バランスも解りません。また、エンジンの方もA/Tと切り離すとベルハウジング側が下りるのか上がるのか解らないので、どちらになっても良いように、以前壊した事がある高価なターボベーンセンサーは取り外して置きました。リングギヤのボルトはオリジナルのエンジンに比べてネジサイズ、本数共に多く、数倍の強度があります。リングギヤもオリジナルのペナペナな物と比べてガッチリしてますので、DURAMAXエンジンが高品位で高強度なのが良く解ります。
リングギアの切り離しが終わって、エンジンとミッションに少し下向きのテンションを与えたまま、合わせ目にあるへこみにバールを差し込みプラハンマーで叩くと段々開きだし、思ったより簡単に分離できました。ミッションの方は少し頭が重い位でバランスが取れたので移動には神経を使わなくても大丈夫でした。エンジンのほうは分離してもそのままリジットラックが効いているので、エンジンマウントの後ろに重心がありました。リフトがないのでA/T本体+ミッションジャッキの高さはフレームより高いので、A/Tはフレームの中で後退させた状態でこの後の作業をします。この後、リングギアを取り外して、カバーを外すと交換するOリングが出て来ますので、殆ど終わったような物ですから、スカイオートに自慢タラタラで報告すると、『それなら!』と言って、ワザワザ部品を持ってきてくれると言うので、狭山名物のカレー屋さんで合流。
スカイオートが帰った後に作業を再開しましたが、ここで、大きな障害が発生。写真のように、リングギアは太いキャップスクリューで固定されています。これはオリジナルのエンジンとは比べ物にならない位立派なキャップスクリュー8本で固定されています。どれ位大きなキャップスクリューかと言うと、六角の対辺が14もあります。こんな大きなサイズの工具はあまり使うことがありませんので、存在自体が稀です。当方も数年前にタマタマ買ったきり一度も使使わず、存在自体も忘れていた位です。工具箱から探し出しシメシメと思いながらインパクトで緩めましたが、ビクともしません。当方のガレージのエア配管は内径7mmのエアリールを使っていますので、インパクトレンチの性能を十分発揮できていない可能性があります。そこでブレーカーバーで緩めようと思いましたけど、インパクトで緩まないボルトですから、どう見てもブレーカーバーの回転トルクの方が上回ってしまいますので、むなしくエンジンが回る筈なので、何だかの方法でリングギアの固定をしなくてはなりません。色々な工具を駆使しましたけど、緩める回転トルクに勝るリングギアの回転を止める方法はありません。
取り合えず、このボルトはどれ位のトルクで締まっているのかマニュアルで確認した所、一定の締め付けトルクで締めた後に、2ラウンドの角度締めなのでトルク値が解りません。更に、マニュアルを見ると、リングギアの回転止めはKENTMOOERのSSTが必要でした。愕然としてスカイオートに連絡をすると、『直ぐに手配します』と言ってくれましたので、取り合えずココで中断。せめて緩める事だけは出来ないかと思い、内径8.5mmのエアホーと、万が一の為に対辺14のソケットタイプの六角レンチも購入しました。SSTはアメリカでも結構高額ですから、思わぬ出費が嵩んでしまいました。。。。

 2014年2月