2016年2月  HUMMER ESSAY 2016年3月      

2016.3.29.    石飛 毅氏

先週の3連休の中日に鈴木さんからHUMMERが故障したと連絡がありました。
場所はアクアラインの海ほたるを過ぎた辺りの高速道路上だというので、取り敢えず、故障個所の写真を送って貰い対応を考えましたが、スカイオートに連絡して移動方法を指示して貰うように伝えて当方は出動準備。写真からテンショナ―が壊れてベルトが脱落して心材のケプラーがエンジンルームに飛び散っていました。テンショナ―の在庫があった記憶があったので、直ぐに出れそうだったので、鈴木さんに連絡するとスカイオートに保険会社の連絡先を教えてもらったと言うので、出来るだけ目立つ所に移動して貰う事にしました。
その後、スカイオートに連絡すると、あいにくスカイオートではインフルエンザが蔓延してて、スカイオートも含めて来ているスタッフももうフラフラで直ぐには出れないと言う事情なので、取り敢えず当方の持っているテンショナ―の写真を送ったところ、どうやらGAS HUMMER用でT-Dエンジン用ではありませんでした。鈴木さんは自営なので中々休みが取れず、折角の連休を子供さんと旅行をしているので、どうにか続けさせてあげたかったので、一旦スカイオートに取りに行く気になったら、途中まで遊びに来ている檜谷さんが外環道のパーキングまで持って来てくれると言うので待ち合わせすることにして、ガレージを出ました。スカイオートがこの日はどこも大渋滞なのでバイクが良いですよと言うので、ヒーター入りの上下とインナーダウンを着てバイクに工具と一応ベルト類を積んで出かけました。
途中、給油をしたり、すこしモタモタしていたので、檜谷さんの方が先に着いていたので、そこで鈴木さんに連絡すると木更津南のファミリーマートに移動して貰ったというので、檜谷さんと別れて、首都高―アクアラインのルートで疾走し1時間ほどで到着。早速テンショナ―を交換しようと思ったらテンショナ―を固定しているボルトがトルクス!近所にホームセンターがあるというので、スカイオートに連絡してトルクスのサイズを聞くとT55らしいので工具の買い出し。所がホームセンターにトルクスがなく、再びヘックスでピッタリのサイズを調べてもらい代替工具を購入。テンショナ―を無事交換できました。
作業が終わり、行ってらっしゃーい!と言う筈でしたが、鈴木さんが、これって問題ありませんか、とアスファルトに付いたシミを発見。匂いを嗅ぐとブレーキオイル。ちょっとまずいなと思い配管を見ると結構漏れが多い、一応増し締めを試みましたが、漏れが止まらず、ブレーキマスターを見ると、油面が残り5mm程しかなく、もし止まってもこのまま旅行を続けるのとは無理だと判断してスカイオートに連絡して来て貰う事にしました。しかし、スカイオートも店があるし渋滞はまだ続いているので、少し余裕を持たせるために鈴木さん一家をタクシーに乗せて近所のアウトレットに行ってもらいました。当方は取り敢えずファミリーマートで多めの買い物をしながらご迷惑を掛けている事をお詫びし、少し世間話をしながら、スカイオートを待ちました。
スカイオートは早終いして、毛利さんと一緒に鈴木さんより少し早めに代車を載せて来てくれました。鈴木さん一家は代車で旅程を継続し、当方達は渋滞に突入しました。スカイオートは少し当方より先に出たのですが、大渋滞だったのでスカイオートを直ぐに抜き去りました。当方は渋滞している車の隙間を3-40km/hのトロトロ運転でしたが電熱服、シートヒーター、グリップヒーターでヌクヌクで快適走行。先に走ると渋滞の様子が分かり、左側からの合流が多いので、海ほたるで一旦止まってスカイオートにその旨連絡しましたが、スカイオートはインフルエンザでボーっとしていたのか電話も出ないのでLINEに連絡を入れて、当方は先に行くことにしましたが、、、、バッテリーにセルを回す元気がなくなっていました.取りえずスカイオートに連絡しようと思いましたが、相変わらず連絡が取れません。そこで、同乗している毛利さんに連絡しようと思いましたが、当方は毛利さんの連絡先が分かりませんでしたので、何時も一緒にいる檜谷さんに連絡しましたが、檜谷さんも当方と同様でした。そうなると鈴木さんに連絡して木更津のドン・キホーテでブースターケーブルを買って来てもらうのが良いと思い、鈴木さんに連絡を取ると、、、電話もLINEも通じない、、、そうこうしていると檜谷さんから連絡が入り毛利さんに連絡が付いたけど海ほたるを通過してしまっているので、檜谷さんがブースターパックを持って来てくれると言うので、これ以上バタバタしても悪あがきになるので確実な檜谷さんを待つことにしました。
一時間ちょっと時間を潰していると檜谷さんがHUMMERで登場。先日のオートサロンで購入した88 HOUSEのブースターパックを繋ぐと再始動成功。取りえず万が一に備えてブースターパックを借りました。檜谷さんはジムニーをスカイオートに置いたまま八島さんのHUMMERで自宅に戻ったので、スカイオートに銀次郎を迎えに行くとの事でした。中々アクティブな人です。別れてからは渋滞も少し緩和してて当方は60km/hで流れに逆らわないで走っていましたけど、それでも車よりはペースが速かった筈ですが、渋滞が終わってアクアラインを出た所で檜谷さんの疾走するHUMMERにブチ切られました。当方は無事帰宅して翌日にバッテリーを充電。これからはどんなことがあってもブースターパックを携行します。
プーリーを調べた所、フランジ付きのプーリーで溶接部分から割れていました.このタイプの構造は以前に片岡さんのHUMMERでパワステプーリーがお亡くなりになった時と同じです。パワステは同じままですけど、最近のベルトの背中を当てる奴はツルツルの一体型になってるようです。もしこの手のフランジ付きが付いている方は部品代は安価ですからプーリーだけ交換することをお勧めします。

そして、今週、鈴木さんのHUMMERの修理が終わりガレージに壊れた部品を持ってやってきました。その部品を見るとテーパーネジを締めこんでいる部品にクラックが入っていました。部品を受け取った時には気が付きませんでしたが、じっくり見るとオカシイ。今まで何度もブレーキを見ているけど、こんな部品見たことがありません。通常、HUMMERのブレーキキャリパーにはダイレクトにフレーアがねじ込まれてはおらず、真鍮のアダプターが付いています。しかし、受け取った部品は本来一個の部品であるアダプターが2部品になっています。それも、テーパーネジのメスにしては肉厚が薄すぎますし銅ワッシャーの当たり面も少なすぎます。
これが。オリジナルなのか、誰かが補修したのかは解りませんが、日本国内ではネジサイズとかアダプターの形状から行われたとは思えません。ですから、ロットでこの部品を使ったとも考えられますので、皆さんも今一度この部品の形状を確認して、これと同じだったら、交換をお勧めと言うか交換は必須です。本来使われるべき部品はもっと肉厚が大きくフロントは3/8オスとフレアーになってて、リアは5/8のオスネジにフレアーになってて銅ワッシャーでシールしています。この真鍮は肉厚はあるのですけど、オスネジの付け根が少し弱いので注意しないとブレーキ配管を外す時に破損することもあります。そのため、以前、柳本さんのHUMMERはバンジョー式に変更した事があります。

2016.3.7.    石飛 毅氏

関東は、少し暖かくなってきましたので灯油の消費が減りました。
以前は月末の土曜日の夜に定期的に来ていた鈴木さんですが、どうしても時間が足らなくてバタバタしてしまいますので、奥さんとの交渉の結果、2ヶ月に1回日曜日に来る事になった様です。今回は事前に、フロントハブのアウトプットシールからのオイル漏れ、エアコンのフロントブロアの動作不良が報告されていたので、すこし余裕を持たせるために、真面目なサラリーマンの当方は、有給休暇が沢山余っていますので、木曜日の夜に引き取りに行って金曜日から作業をする事にしました。
鈴木さんの奥さんは長女の友人で住まいが近所なので、晩御飯を自宅で摂ってから出かけてまだ仕事中の鈴木さんからHUMMERを預かりました。エンジンを始動するときに、グロープラグを予熱した後、スターターを回すと少し重くてエンジンが始動した後に異音がしました。これはスターターの回りが悪いので、始動した後にエンジンの回転がスターターの回転より速いため、ピニオンギアが引っかかった音です。原因はバッテリーの電圧低下です。
エンジンが掛かった後は暖気完了するまでは多少白煙が多くなりますけど、これは問題ないでしょう。今回は久々に乗るので様子を見るため下道でガレージまで行きましたが、エンジン、ミッション、ブレーキ等、走る部分においては特に問題がなくとてもスムーズです。ただ、マッドグラップラーの走行音はうるさいですね。これだと駆動系にトラブルがあった場合異音の聞き分けはオーナーじゃないと難しいかもしれませんね。それと気になると言うか駄目なのは、FSDクーラーに取り付けたファンの回転モニター用LEDランプです。取り付けた時は昼間だったので気が付きませんでしたが、これが眩しくてたまりませんでした。
1時間弱のドライブでガレージに到着し、先ず行ったのはバッテリーのチェック。本来は内部抵抗を調べるべきですが、内部抵抗を測定するハイテスターはとても高価なので、代用してCCAを測定する事で大凡の劣化を調べます。とりあえず到着時のCCAは両方とも450A程度。装着しているOPTIMAのイエロートップは新品で765CCAなので60%程度と言う事になります。そこで、OPTIMA専用充電器で充電する事にしました。
金曜日は、軽い事から開始しました。先ずは眩しいLEDの輝度ダウン。本来抵抗を入れて電流を下げるべきですが熱を持つので物理的に先端を削って丸く切り抜いたシールを貼り付けて間接照明にして完了。次にブロアモーターの修理。ブロアスイッチを入れるとリレー音がするので摂りあえずブロアのコネクターを外して電圧を測るとちゃんと電気は来てました。ブロアを外してスイッチング電源を直結すると、ブロアは元気に回転しましたのでブロアには問題がありません。ブロアのプラスはゴムで絶縁されて本体に付いていますが、マイナスはブロアを取り付ける固定ネジで端子を共締めするタイプなので、この部分には菊座を入れて塗装皮膜を破らなくてはならない筈ですけど、菊座が入っていませんでした。接地部分も腐食していましたので序に磨いて再取り付けしたら、無事ブロアは復帰しました。
作業中、ドアロックの不良が一箇所ある事に気が付いたので、コレの補修。大抵アクチェーターモーターのトルク不足が大半ですが、アクチェーターを外して、スイッチング電源に繋いで確認すると、ジャターもなくパワフルに動作します。そうなるとドアラッチの負荷が上がっているのが定番ですけど、こちらも問題なし。そこで改めてリンケージを見るとリンケージの向きが少しおかしいので、修正すると軽く動くようになりました。思い出してみると、当方のを初めとして運転席側後方ドアのロック不良って1番多い気がします。今まで数台修理していますので、今更ですけどリンケージの設計不良でリンケージの形が悪いためにアクチェーターに負荷がかかって壊れたり動作が不安定になっているようです。お心当りのある方は再点検をお勧めします。
バッテリーに関しては、充電完了してから1日放置して測定すると電圧は12.6V、CCAは550近辺なので賞味期限はギリギリ保っている感じです。ただ、問題なのはイエロートップの場合は充電電圧が高いためオルタネーターでは満充電には出来ないので、この電圧もCCAも車載での運用では出ない数値かも知れません。一応、このバッテリーの製造年月日を見ると5048と書いてありましたので、2005年11月生産で、2日目にハイテスターが使えたので内部抵抗を測定したところ4.7mΩと4.36Ωでした。新品の内部抵抗は3.5mΩでバッテリーの寿命と言われている内部抵抗が1.5倍の5.25mΩになり、CCA値も交換時期の450A(容量60%)以上ありますので、このバッテリーはまだ使用可能だと判断できます。ただ、あと何年?と聞かれても単純計算だと4年となってしまいますが、CCAが少ないイコールスターターの回転不足による電極スパークやピニオンギヤの破損に結びつきますから1-2年の内に交換する計画を立てておいたほうがいいと思います。

今回、メインのハブのアウトプットシール交換です。大抵タイヤの内側にオイルが滲んだ跡を発見して気が付く場合が多いのですけど、余りにも洩れ量が少ないと、タイヤの回転で飛ばされてしまい、気が付くのが遅れる場合があります。今回はホィールの内側に溜まっている程度で発見できてますので、物理的な破損はありません。アウトプットシール交換手順は、タイヤを外し、ギヤオイルを抜きます。今回は何故か少しピンク色のオイルが入ってて、尚且つ金属粉も出ていました。油量は十分残ってて金属粉も問題視するほどではないでしょう。オイルを抜き切ったら、スピンドル裏側のCTISホース接続しているカバーを外します。ここには小さなオイルシールが付いているので、慎重に剥がして抜きます。スピンドルシャフトにはスパーギヤがスプラインで嵌め合っていますのでロックナットのビスを緩め、SSTを使って緩めれば抜く事が出来ます。緩める時はSSTは不要ですが、締め込みは必需品になります。
スピンドルを外してオイルシールを観察するとシール自体のリップはまだ十分に残っていましたが、ゴムの硬化で柔軟性がなくなり洩れ始めたと思われます。また、旧型のオイルシールだったので、もしかすると新車の時から無交換だったと思われます。新しいオイルシールはダストリップが別部品で、オイルシールの打ち込みも面合わせではなく、SSTを使って規定の位置まで押し込みます。ダストシールをスピンドルに取り付けた後に、ハブの中で遊んでいるスパーギヤを少し持ち上げながらシャフトを挿入します。スピンドルは所定のトルクで締めこんだ後にスピンドルを時計回り、反時計回りを5回転以上回してベアリングが落ち着いた後に所定のトルクで緩めロックナットのロックボルトで締め上げます。ロックナットを締め上げるロックボルトは中強度のネジロック剤を使っていますので掃除をしないと正確なトルクで締めこめませんので、ワイヤーブラシとタップを使って古いネジロック剤を除去します。
全てをロックした後にロックナットに印を付けて、指定のトルクでロックナットを緩めてロックナットが動いていない事を確認します。これでスピンドルシャフトの与圧調整と組み込みは完了です。作業性を良くするために当方はこれらの作業時にはタイロッドを外して行いました。ハブオイルが少し汚れていたので、一応、反対側のオイル交換もしましたが、こちらは飴色の綺麗なオイルが充填されていましたので、反対側はCTISのオイルシール交換等の修理をした事がありそうです。
この作業してて気が付いたのですけど、このHUMMERにはCTISホースカバーが付いていませんでした。どの年式に付いててどの年式に付いていないとかすっかり忘れてしまいましたけど、少なくとも後輪には鉄製の物が付いている筈です。機能的にカッコいい部品なので、1番最初に当方が無地のステンレス製の物を作った後に、ロゴ入りの物を作りました。完売したと思っていたら、ワンセット出てきたのでコレを取り付けました。余り目立ちませんけどキラッと光っていい感じです。

 

 2016年2月