HUMMER ESSAY 2001年4月     

 石飛毅氏よりの E-mail より抜粋    to  大井康之

 
2001年3月  

2001.4.30.   石飛毅氏

ゴールデンウイークの前半はガレージ三昧ですが、以前にメールを頂いた方々が連日お見えになっています。
本日お見えになった方は96年式ターボDIESEL WAGONのオナーで、少し私たちと環境が違います。この方は運送関係のお仕事の他に輸入車の販売等も行なっている方です。メルセデスとか、スパーカーとかも扱われた事がありますが、どうしても自分の車としてHUMMERが欲しくてやっと手に入れたそうです。
車に関してはとても博識でこれから沢山教えてもらう事がありそうです。今日はご自分の会社のメカニックと同行でしたが、プロの方なのに素人の私に知ったかぶりする事無くひたむきな方でした。またオーナーも仕事としてHUMMERを見るわけではなく大好きなドーベルマンと一緒に乗る楽しみを熱く語っておりました。
HUMMERにも自分なりに使い易い道具としての改良をしていますので、明日紹介します(デジカメをガレージに忘れてしましました)お楽しみに。
大井先生向けのタイヤはワンピースホイールに付いていますので当ガレージでは分解できませんのでホィールから外すためにアルバイトを雇ってランドマップに運びました。外したら直送してもらいますので少々お待ち下さい。タイヤは9分山以上あますのでほぼ新品です。
先日皆さんに見て頂いたように、私のガレージは足の踏み場も無いほど繁雑しています。そこへCCVの石川さんが廃業した修理屋さんから15tの油圧プレスを頂いたので設置場所を当ガレージに任命されましたので、ガレージメイトのメンバーで棚を作り整理整頓しましたので少し見れるようになりました。明日は九州からHUMMERオナーがお見えになる予定です。

2001.4.26.   石飛毅氏

タイヤの写真拝見させて頂きました。
内側はかなり摩耗している様ですね。以前にGSAを交換したHUMMERはフロントとリアーでかなり差がありましたが、先生のタイヤはほぼ均等と考えて良いと思います。もう少しはOKですがやはり全て交換した方が良いと思います。2万Kでこれであるという事はGSAは持ちが悪いようですね。私のMTも使用限界を迎えつつありますが5万K以上使用しています。ただし私の場合はスペアーをローテーションに加えていますので多少の延命はしていますが、佐々木さん徳原さんのGSAも同じ様な感じで摩耗していますので車輌本体の問題ではないと思いますので、安心して下さい。どうしてもこの摩耗の仕方が気に入らないときは、少し長めか固めのタイヤに交換する事をお勧めします。交換するタイヤですが、冬季用のタイヤが今年は準備出来ますので、冬の事を考えずに選んでも良いので価格的にはスワンパーがお手頃です。標準タイヤを選ぶのであればMTの方が長持ちしそうです。高速騒音はスワンパーより低いので十分だと思います。先生のホィールは2ピィースなのでランフラットの取り外し工具と5角ソケットはレンタルできます。今度のコンテナが5月中に出るはずなのでMTであれば早めに連絡下さい。GSAであれば中古がありますけどホィールに付いていますので工賃を考えるとなんとも言えません。どちらが徳かシュミレーションしてみます。


オフロードエキスプレスの記事は凄い量でしたね、多少、間違いもありましたがごあいきょう程度と思います。特に関根さんのHUMMERの写真はキレイで、さすがにプロの腕は凄いと思います。私の友人に宝石の写真を撮る方がいて実物の何十倍の大きさに引き伸ばした指輪の写真を見たとき、あまりにも美しいのに驚いた事があります。当方はデジカメで確認しながらとっていますが、あの程度でも1カットを何枚かとることもあります。修理をしながら写真を撮るのは結構大変で、一番の犠牲者は汚い手で触られ、工具箱に載せられたりして乱暴に使われているSONYのデジカメです。話を記事に戻しますが、私の反省はもう少しキレイなツナギを着る事と「社会の窓」はキッチリ閉めようと思いました。HUMMERの組み立ての様子は私に取って新情報で、面白く読めてその内貯金して工場見学に本気で行ってみたいと思っています。未だザットしか見ていませんので今から熟読します。

2001.4.21.   石飛毅氏

英文があるのをすっかり忘れていましたすいませんでした。
先日、メンバーの皆さんが取材に協力したオフロードエクスプレス誌から数回内容確認の電話があり、その都度ご担当の方から色々お聞きした所、電話ではかなり面白い内容があるようです。今の所、彼らの取材したものなので内容には触れませんが、現地取材で結構良い情報を得たようです。
例えばHUMMERを組立てる行程とかもあるようです。ただし、オフロードエクスプレスは見せる雑誌なので担当はかなり詳しく調べているのに記事は表面的なものになってしまいそうなのは残念です。別冊でやって欲しかったと思います。また皆さんに聞かれていた見本誌は今日確認した所発送しないそうなので、ご自分でお買い下さい。当日の燃料代、高速代、日当も もちろんありません。取材だけのために行ったのですがこれはご自分で希望しての参加協力なのでしかたがありません。例え企画しても参加者が少なそうなので可哀相だからと思って参加しても同じです。
メリットは一流のカメラマンが愛車をバッチリ写してくれていますのでこれは記念になります。写真の大きさが小さくても文句は言わないで下さい。貴方より写したカメラマンの方がもっと可哀相ですから。
皮肉はこれぐらいにして、内容的には40ページもあると聞いていますので「買い」だと思います。26日発売です。
もう一つCCVの42号も5月2日に発売です。この本はかなりマニアックですが、このまま皆さんがマニアになって後から読み返すと面白くなる本です。詳細は http://homepage2.nifty.com/CCV/ です。

2001.4.20.   石飛毅氏

在日外国人の方(国籍不明です)からメールが入りました。入会希望の様です
とりあえず、一度私のほうに遊びに来る事が出来るか聞いてみてください。
入会はそれからでも良いと思います。 これからは会則も英文が必要かも?


I just bought a 1995 4 door soft top from White Horse in Gifu. I live in Ichihara Chiba and I'd like to be a member of your club. Please send me information.

Heath Johnson         Ichihara, Chiba 

2001.4.14.   石飛毅氏

壊れたエンジンのクラックを見るためにエンジンのヘッドを取り確認する作業を行ないましたので報告します。
写真 1 は下ろしたエンジンの外観です手前側のバンク一番左側がクラックが入っていると思われる8番シリンダーです。黒い部分はバルブカバーでこれを外し中のヘッドボルトを外してシリンダーの中を調べる作業ですがこのためには色々回りの補器類の取り外しを行ないます。左バンクだけの補器の取り外しだけで済むと思いましたが結局関連している物もありますので殆どの部品を外さなければなりません。
先ずターボで加圧した吸入エアーを分配するマニホールド、ターボに接続される両バンクの排気管を取り外します。マニホールドは成型ゴムのパッキンで左右のマニホールドとシールされており、ターボとの接続は差込だけでシールはサイドシールをOリングでされています。排気管はフランジ式では無く、配管先端をフレアーで付け合わせ外側からテーパーを締め込むタイプで食品関係の製造工場で使われているサニタリータイプのジョイントに似ています。
タービン本体はボルト2本で固定されているだけですが、ウエストゲート アクチェータ ステーがエンジン本体に1本使われていますのでエンジンから外すのにはボルト3本外すだけです。
ターボを外した後には 写真 2 のようにエンジンに穴が空いています。オイル穴だと思いますが確認していません。右下のメクラブタはガソリンエンジンとブロックが共通なので、ガソリンエンジンの時はここにデスビーが刺さります。DEISELの場合もここにバキュームポンプを取り付けてAC、やエンジンコントロールに使います。
最近のターボにはオルターネターの下にベルトでバキュームポンプは駆動されています。
次に燃料配管がヘッドの上を通っているので配管を取り外しますが、噴射ポンプの先端からタコ足の様に接続され通常の工具では外せないのでパンプごと取り外しました。
外し方はウォーターポンプを外しポンプを駆動しているスプロケットの3等分されているボルトと、センターボルトを外し、プーラーでスプロケットを外します。再取付けの時はスプロケットに印を付けておかないと大変な事になります。ウォーターポンプは後ろの取付け板と一緒に外さないと取れません。
写真 3 はエンジン後方よりポンプを見た所。
写真 4 はエンジンをフロント側から見た所。スプロケットを外して見ると壁面にオイルと水分が混じっており何処からか水分がエンジン内に混入した形跡があります。
写真 8 参照 
バルブカバーを外すとやはりオイル貯りにオイルとなじんでいない水玉があります。
写真 9 参照 
ヘッドの重量はかなり重いのでヘッドボルトを外しフィークリフトでヘッドを釣り上げて取り外します。
写真 10 はヘッドの裏から見た所で、燃焼室はさほど汚れはひどくありませんでした。
写真 13 14 参照 
写真 15 の一番左が8番シリンダー 噴射ノズルを外しクランクを回して8番シリンダーを見るとシリンダー上部に円周状のクラックが入っていました。またこの他にも縦方向にも虫食い状の傷が入っています。他のシリンダーの状態は良好です。
写真 12 参照。
一応このエンジンのキャストナンバーを記録しましたので、この番号の近傍の方は注意が必要だと思って下さい。
今回はクレームでエンジンをAM General から送ってもらえましたが、保証期間の過ぎた車輌はどの様にしたら良いか各方面に聞きましたが、エンジンブロックの補修は賭けになるので交換になるそうです。ただし、ブロックの交換はエンジンの分解になりますので、組立てる方の腕の差によって程度はピンキリになります。また、例え折角良いエンジンを組んでもそのエンジンの良さが解るオナーも少ないので、今回のようにラインから抜き取った動作確認済みのエンジンの方が時間的にも価格的にも安いと思います。
エンジンの価格は購入先にもよりますが、今回の輸入インボイスには約50万円となっていましたが、これは工場出荷価格なので実際購入するともっと高くなると思います。積み替え工賃もさまざまですが、それなりの設備とやる気が必要なので見積もりを取る事が必要でしょう。また知識の無い所で行なうと壊される事や、納期に問題がある事があります。
くれぐれもご自分のHUMMERの冷却水管理には注意して壊さないで下さい。修理工場の中には水路を真空引きして冷却水を充填する所もあります。この方法であれば完璧でしょう。

写真 1

写真 2

写真 3

写真 6

写真8

写真 9

写真 13

写真 14

写真 15

写真 16

写真 12

2001.4.13.   石飛毅氏

韓国の方に続き USA Detroit 在住で自動車関係の仕事をしている田中さんとおっしゃる方からもメールを頂きました。
この方は現在、Hummerの次期車種(Hummer−2)の開発、工場建設Projectに携わり、Detroitの開発センターとIndiana州にあるAMGeneralの工場を毎週のように往復しているそうです。以下に田中さんのメールをご紹介します。
H2 HUMMER は、GMのTahoeという車(RV)のPlatformをベースに開発している民生用の車です。OFFLOADはHUMMERと比較すると、多少弱くなりますが、市内での乗りごごちはUPします。(まあ誰もHUMMERに乗りごごちは期待してないでしょうが)
Engine HoodはHummerと同じ複合樹脂ですが、外装は溶接構造となるためアルミリベットはなくなります。Tireは変わります。HUMMER−2とオリジナルHUMMERは製造ラインが異なるため、オリジナルHUMMERの製造がStopすることはありません。DesignはGMが担当し、製造がAMGになります。来年、2−3月頃が発売開始予定です。
HUMMERのOWNERではありませんが、本当に好きな車です。以下のWEB SITEで、HUMMERのロゴ入りのジャンパー等いろいろ買う事が出来ます。
http://www.hummerstuff.com
もう少し詳しいHUMMER-2のSPEC等(press releaseされている範囲でなら)お送りできます。AMGenral の工場の近くにTEST COURSEがあり、このTOURは最高です。大きな岩の上をよじ登ったり、EXHAUST PIPEにEXTENSIONを付けて、水の中を潜ったりします。(勿論 ハンドルを握らせてもらえます)
(以下イシトビ感想)H2 HUMMERの製造をAMGeneralで行なうと言うのは驚きでした! フレームも大きさを考えてサバーバンかと思いましたが、タホにもロングホイールベースの4Drが有りますし、リアーのオーバーハングの大きさから考えてタホである事も十分考えられます。先日、トヨタの本社工場に行った時ひっきりなしにハイラックスのエンジンや足回りが付いたフレームがキャリアカーに載せられて他の工場に運ばれていました。おそらくベアシャーシーをデトロイトで作ってAMGneralで組み立てをするのかもしれませんね。H1 HUMMERが継続生産される可能性が高くなったのは朗報ですね。一安心しました。先日のショーでGASエンジンのHUMMERが出ていましたのでこれからの日本の状況では大歓迎ですね。ただ、燃料消費の事を考えると・・・ですけど。又新しい情報を頂ける事を楽しみにしています。

2001.4.12.   石飛毅氏

韓国のHUMMERオナーからメールが入りました。
この方の情報では韓国では96年頃に10台のHUMMERが輸入されたそうですが、その当時経済的にも大変な時期だったのと、韓国の道路事情に合わない為完売できず何台かはそのまま輸出されたようです。この方は親戚が購入した物を譲って頂いたらしく、ご自分でもラッキーだと言ってます。韓国もここの所、景気が上向きその内HUMMERの数も増えるでしょう。写真を送ってもらうように依頼しましたので楽しみに待っています。
最近、周りの色々な方からHUMMERの生息情報を聞く事が多くなりました。国分寺の大きな家の大きな庭の奥にあったとか、名古屋には2台並べて駐車している所があるとかの目撃情報。北海道にはハンビーにトヨタのターボチャージャーを2機付けている方がいるとか、苫小牧にはHUMMERの整備の達人が居るとかの情報も入ってきます。
実際にコンタクトした事はありませんが魅力的な話はまだまだあるようです。雑誌の売買欄でも見掛けるようになり、YAHOOのオークションにも数台出ています。発売以来8年目にしてやっと市民権を得た様です。
しかし今回発令された法律は広範囲の地域で使用禁止になる様です。未だ内容を掴んでいませんのでハッキリしませんが、これに対する対応はガソリンエンジンへの換装しかないかもしれません。使用期間は平均車齢を持って決められると聞いていますので、93年式のHUMMERはそれほど猶予が無く発令後直ちに対応が迫られる事になると思います。困った事です!! 

2001.4.11.   石飛毅氏

写真011 はパワステポンプのプーリーを抜いている所です。


写真013 はラジエーターを取った状態です。


写真014 はラジエーターを外した状態であればブレーキのパッド交換も楽そうです。今回はパッドの残りが十分だったのでそのままにしました。


写真015 はエンジンの裏側を室内から見た状態です。


写真016 はブローバイガス導入口です。健全なエンジンであればここから燃焼室から漏れた圧力がインテークマニホールドに回収されるため若干のオイル分を含んでいますが、今回はその中に冷却水がベーパーになって混じっていたためオイルと混ざって乳化しています。


写真017 タービンの入り口です。ここの中も乳化したオイルが壁面に付いています。


写真018 これも同じくブローバイガスが入って来るインレットパイプの内側からの写真で、ブローバイガスから乳化している様子が分かります。


写真019 新しいエンジンは配線のコネクターが一ヶ所違うので基本的に旧エンジンの物をベースにしたものを流用しました。


写真020 エンジンの積み下ろしはフロント側を上げて行なうと楽です。

2001.4.10.   石飛毅氏

渡辺さんの HUMMER 無事エンジン積み替えが終了しました。
最後に残っていたパワステの不調はパワステポンプのリークが原因で結局解体車からの剥ぎ取りで部品交換を行ない終了しました。解体車のパワステがあったため修理が予定通りに終了しましたが、無ければ2週間弱遅れますので、オーナーにも、工場にも良かったのではないかと思います。他の方のポンプも壊れた事を聞いた事がありますので次回また、誰かが必要になるかもしれないので部品を注文しておこうと思います。今度時間がありましたら壊れたパワステの修理にも挑戦してみたいと思います。

2001.4.9.   石飛毅氏

エンジン交換の続報です。
エンジンを降ろすために先ずミッションをNに入れて、車止めでタイヤを固定します。
最初にグリルガード、ボンネット、ラジエーターユニットの取り外しを行います、グリルガードは根元のボルトを2本外すと取り外しが可能です。ボンネットは開けたときの支えになるツッカエ棒の可動部分のブラケットをはずし一旦閉めます。続いてチョウバンピンのRピンを抜きチョウバンピンを抜きます。ボンネットは大型ですがFRP製(風呂桶の様な物)のため軽量なので2人でどうにか持てます。
エンジンを降ろすときに邪魔になるバッテリーケース、運転席側のインナーフエンダー、エアークリーナ、サージタンクを外します。エアークリナーを止めているのは3本の長いホースバンドで固定されていて、吸入側はエルボー型のゴム配管で90°方向変換しています。このゴムとエアークリーナーを接続しているホースバンドは煙突の下にあるのでインテークも取り外します。また、クリーナータンクの下側の板を外すとACの配管があるのでACガス漏れの点検も出来ます。
サージタンクは予めクーラントを抜いておき、固定している2本のホースバンドを緩め2本の配管を外すと取り外しできます。
次にラジエーター部の取り外しに移りますが、この部分は一体で取れますのでそれぞれのクーラー、AC エバポレーターを個々に取り外すことは不要です。ACホース、ラジエーターホース、エンジンオイルクーラーホース、ATオイルクーラホース、パワーステアリングオイル クーラーホースを取り外しラジエーター下端のボルトを1本とラジエーター両サイドを固定しているブラケットのボルトを全て取り外してブラケットを取り外します。ラジエーターのファンシェラウドはラジエターに固定してありますので無理に取らないように注意してください。
ラジエーターを外すにはファンシェラウドとクーリングファンのクリアランスが少ないので、ファンを止めている4個のナットをこの状態で取り外します。このナットにはネジロック剤が使われているのと、構造上スパナ(メガネ)しか使えないので、緩めるときににファンが供回りして上手く緩まないので、テンショナーを閉める方向に荷重をかけてベルトをキツク締め上げながら作業を行うと緩めやすくなります。ラジエターのシェラウドの中にファンを入れたままラジエーターを上に上げると車体から分離できます。これは2人で持ち上がりますが3人いるとやり易くなります。
これで今まで埋もれていたエンジンが姿を現します。しかしHUMMERの場合はエンジンの1/4程度は室内にあるため室内のエンジンメンテナンス用のハッチを開ける必要があります。このハッチはステレオ、ACコントローラー、グローボックスの付いているハードカバーで覆われているのでまずこれを外さなければなりません。
ハードカバー自体は上部の鉄板ビス3本、運転席足元の皿ビスだけで固定されているので取り外しは簡単ですが、これを取り去るには助手席側のダッシュボードパットを外し、グローボックス、ACコントローラー、ステレオの数本の配線コネクター、バキューム配管を外す必要があります。
HUMMERのワイヤーハーネスは硬くて込み入っているので配線の取り外しはとてもイライラする作業になります。また、助手席のダッシュボードパットハードには吹き出し口のダクトホースが繋がっているので今回は横着せずに取り外しました。
ハードカバーを外すとズースファスナ2個とゴムフックで固定されているサービスハッチが見えます。これは軍用のハンビーと共通の物で、樹脂製のカバーでアメリカのVANにも同じような構造がよく見受けられます。ここで更に面倒なのはこの年式では運転席に行く空調ダクトが邪魔で、ダクトの一部を外しダクトを少しアオらないと外せません。
サービスハッチを開けると、エンジンの後部、ターボ、グローリレー、排気管、ATのベルハウジングが現れ、これで車体とエンジンの分離のための作業が出来るようになります。
エンジンとに接続している各センサー、コントローラー配線は3個のコネクターに束ねられており、この他にはACの電源のアース線があります。配管は燃料の供給、戻りの2本、ACダクトコントロール用バキューム配管、ヒーター用の配管、ラジエーターから来る冷却水の供給側の配管があります。この配管はエンジン下でマニホールドになっていますのでこれごと外すと作業が楽です。
作業が楽なのとエンジンを降ろすときに出来るだけ邪魔な物が無いほうがいいので、この状態で古いエンジンから新しいエンジンに流用するオルタネータ、バキュームポンプ、ACコンプレッサー、パワステポンプを取り外します。パワステポンプはプーリーが圧入してあるためプラーで抜く手順ですが、トヨタの指定工具は余りにもキツイ圧入のため壊れてしまいました。
今回の作業の請け負い工場にはスナップオンのプラーがあるのでこれを使えと指示したところかなり高価らしく渋っていましたが、これを使用すると工具を壊すこと無く抜くことが出来ました。
おそらくHUMMERのパワステのポンプはGM製で通常はオイルクーラーなしで使いますがオイルクーラーを備えて居るところを見るとかなり過酷らしく加熱して使われていたため固着が進んでいたのかもしれません。本人いわくその工具を壊すと工賃が飛ぶと言ってましたが壊さずに済んで安心。
エンジン後部はターボの熱除けのため薄い鉄板のカバーで覆われていて排気管を外せないのと新しいエンジンにこの部品は付いていないので後方部分を取り外します。
最後の大物はAT本体との縁を切る作業です。取り外しにはスターターを外しオイルレベルケージを取ります。エンジンとのつながりは内部で動力(回転方向のみ)ベルハウジングでガラの固定を行っています。そのため先ず内部の縁を先に切ります。
トルコンを止めているボルトを外すためにベルハウジング下側の鉄製のカバーを取ります。このカバーは水の浸入を防ぐためにフランジ面にはシール剤が塗られているので、ボルトを全て外してもコジらないと取れません。またスターターはリングギアーとの歯当たり調整用にスぺーサーが入っているので無くさない様に注意が必要です。
カバーを取るとベルハウジングの隙間からリングギアとスパナでリングギヤとトルクコンバーターをつなげているボルトを外します。その後エンジンとATを接続しているボルトを抜いてエンジンと完全に切り離します。最後にエンジンマウントのエンジン側のボルトを外し、エンジンクレーンでエンジンを手前に引きながら少し吊り上げます。
ターボから左右に空気を振り上げているマニホールドが当たらない程度に上げて少しづつエンジンを手前に引き出し、途中でエンジンマウントを抜き取ります。エンジンは少し前上がりで釣り上げ引き出します。引き出すときはまだ出し切れていないエンジン内のクーラントや各オイルがダラダラ流れ出し、これが体に降り落ちて不快になりましたが下でエンジンマウントを外していたアルバイトはもっと悲惨でした。
今回使用したエンジンクレーンの容量は十分でしたがエンジン重量が重いのでエンジンクレーンにオモリとして一人乗せておきました。新旧のエンジンを並べ異なる部分のチェックと降ろした状態のほうがやり易い部品のコンバートを行ったところ、ウォーターポンプの形状、ファンの取付部分、エンジンと車体の配線コネクター、燃料配管が異なりが分かり配線は旧エンジンのコネクターの一部を交換し、ウォーターポンプはストックの旧型新品と交換することにしました。配線は降ろした状態、ウォーターポンプ、燃料配管は床においてある状態より積んでからのほうが楽なので後で行う事にした。
エンジン積み込み前は長い休憩を挟み、新居に引っ越しする時の様に広い内に他の部品の点検と洗浄を行い、新しいエンジンを向い受ける準備が整ったところで、新しい手袋に履き替えエンジン搭載モードに切り替えて作業を再開しました。
積み込みはエンジンを前上がりに釣り上げた状態で出来るだけ奥に入れ込み、エンジンマウントを差込み一端降ろしエンジンを水平にして再度釣り上げてミッションの側まで近づけます。ミッションの下にジャッキを当てエンジンのレベルと合わせ左右に振ったりエンジンを回転させてミッションとエンジンのボルト穴をあわせてボルトを固定します。この後エンジンマウントにエンジンを固定して、分解した時の逆に各パーツを取り付けます。
内装の組み上げはオナーの手抜きで後付け部品の配線露出したままで、小学生の作ったラジオの様なスパゲッティ状態でしたので、作業がやりずらいので勝手に配線をすべて内装に埋め込み整理しました。
本当はDVDナビも埋め込みたかったのですが、もしかするとあれはオナーの好みで大きなお世話と言われた時に元に戻せるようにしておきました。エンジンオイルは何か不思議な物が入っており、どちらかと言うとグリスの様な保護剤が入っていたのでエンジン内の洗浄を行い、新たにBPのオイルを使用しました。ACの配管もガスを入れる前にリークチェックを行ったところ良好で、後日パワステのエアー抜きとエンジンスキャナーでテストを行って終了の予定です。
エンジンをかけて軽くアクセルを踏むとなぜかとてもスムーズなふけ上がりで、気分がいいエンジンの様です。このHUMMERは中古で購入したため前のオナーや輸入時に乱暴されたりしたのではないかと言う不安がこれで無くなりましたがこれからの慣らし運転でこのコンディションをキープしていただきたいと思います。

2001.4.4.   石飛毅氏

渡辺さんのHUMMERのエンジン交換が遂にスタートしました。
作業場所は、例に依って川越のランドクルーザー屋です。昨日から作業を始めていたようで、私が行った時は既にボンネット、バッテリートレイは外されており、ラジエター関係の取り外し作業を行なっていました。
今回は、重整備である事と、何があるか分からないので、作業に立ち会うだけではなく作業の手伝いをする事にしました。
私は主に簡単作業ですが、記憶力と生真面目さが必要なエンジンとボディーとの縁切りの作業を行い、力の必要な作業は店主とアルバイトに任せましたが、なぜかこのHUMMERは殆どのボルトがさび付いており、緩めるのには大変苦労しました。
おそらく原因はオーバーヒートによる酸化促進効果で固着している様です。そのため結局泥だらけになってしましました。
問題点はやはり数点ありましたが、その殆どは解決しましたが、ウォーターポンプが支給されたエンジンと既存の物が異なり、この部分に付いては旧エンジンからの流用を考えましたが、オナーが別に新品を持っていると聞いていましたので、その手持ちの物と交換する事にしました。 交換の詳細は後日報告します。

2001.4.2.   石飛毅氏

オフロードエキスプレス誌の取材は、生憎の天気で小雨から小雪という状態であまり良い条件ではありませんでした。
集まったHUMMERは松原さん所有の3台を始め、友野さん、貝瀬さん、関根さん、中村さん、渡辺さんで撮影は行なわれました。浅井さんはお仕事で、島崎さんはバッテリー上がりで参加出来なかったのは残念です。詳細は本誌の発売で確認して下さい。
当日私は往路をやっと組み上がった松原さんのHUMMERで試走を兼ねて参加しました。サスペンション改造後のインプレッションはフロントが多少固くなりましたが、リアーはテーパーコイルから一定径のコイルで全体的に固くなりましたが、フルバンプまでそのままの乗数なので大きいギャップでの突き上げは減ったようです。ロールは更に小さくなりクルクル小気味良くボディを振る事が出来ます。オンロード、フラットダートの走行には性能向上が特に見られると思います、また大容量のショックとバンプラバーのおかげでジャンプをしてもいけそうです。(ゼタイにしないと思いますけど)ダンパーは加圧式で初期設定のままです。これに依ってどの程度変化があるかは解りませんが、個人的にはもう少しダンパーの固さが柔らかくても良いと思いますのでしばらく初期のへたりが出るまでもう少し様子を見てから調整したいと思います。
部品代も高価で、取り付け工賃も通常ですとかなり掛かる(両方で立派な車が買える)ので国内でこの足回りを装着しているHUMMERはこのHUMMERだけだと思います。更に今回このHUMMERには今まで付いていたボーラーのマフラーからオフロードアメリカの排気システムと交換しました。ボーラーは排気管のエンドパイプ部分をステンレス製にした物で、泥の付着等で腐蝕しやすいのと、標準の排気口付近の溶接はあまり美しくないので性能重視より見た目がスッキリした物です。
新しい排気システムは触媒以降のサブマフラーからの交換する物で口径はかなり大きく、タイコ部分の抵抗は低そうなものです。このHUMMERはDIESELエンジンですがオリジナルは触媒が付いますが、レースの時これを取り外していたため排圧が上がらず以前は関根さんのHUMMERと比べてトルク感が無く加速性の性能は低かったのですが、今回取材時に誰も居ない駐車場で関根さんのHUMMERとスタートダッシュの競争を行い性能確認をしましたが以前と逆転してブッチギル事が出来ました。
もちろんマフラーだけではなく、タイヤ、ボディの軽量化も影響していますが、特にゼロスタートが気持ち良くふけ上がりシートに体に少し押し付けられます。排気音は決して大きくないのでしっかり消音はされています。今後の予定では触媒を戻しコンピューターの交換もする予定なので今後が楽しみです。
帰りはハンビーに乗って帰りましたが、新品の軍用タイアのバランスが悪いせいで、振動はかなりの物ですが高速での走行は特に忍耐でした。未整備状態なので、仕方ないのですが、ボールジョイントの交換、アイドラーアームの交換で好転すると思われます。

 

  2001年3月